胃潰瘍とは、胃粘膜の機能がうまく働かないことで起こります。摂取された食べ物をドロドロに消化する強力な胃酸は、胃粘膜に分泌されている粘液が中和しているため、胃自身を消化することはありません。
胃酸の分泌と胃粘液の分泌のバランスが崩れた時、胃に異常が起きてきます。何らかの原因で胃粘液の分泌が減り、そこに通常の胃酸の分泌、もしくは過剰な胃酸が分泌されると、胃の粘膜は胃酸によって溶かされて(消化されて)しまいます。ただ胃粘膜が損傷しても粘膜内の血流が酸に働きかけて、潰瘍までは発展しないそうです。
胃潰瘍の症状は、食事中もしくは食後の胃の痛み、胸やけや吐き気、胃酸逆流のためのすっぱいゲップなどがあります。痛みは激痛から無痛まで、症状の程度など人によって違います。かなり重度な場合などは胃が出血を起こし、黒褐色の吐血やタールのような便が出ます。
さあ、ここで思い出すのが生きたピチピチのアニサキスが胃壁に喰いつき、たまたま太い血管が傷ついた時、胃潰瘍のように出血を起こす事です。この場合、出血した部分を止血する必要があり、それ以上の症状の悪化を防ぎます。
そしてもう一つ、アニサキスが胃壁に潜り込みそこで息絶えた場合、その周辺に「好酸球性肉芽腫(こうさんきゅうせいにくげしゅ)」と言われる盛り上がりが形成されます。好酸球は異物に対する攻撃(免疫)に関係する白血球の1つです。アニサキスに対するアレルギー反応によって、この好酸球が大量に作られることで盛り上がりが出来てしまうのです。
これらのことから、アニサキス症の症状が胃潰瘍に似ていることが分ります。アニサキス症の症状が比較的軽く自然治癒していた場合、別の胃カメラでの検査時に肉芽腫(盛り上がり)が発見されることもあるようです。その場合、死んだアニサキスと肉芽腫の摘出をする必要があります。
アニサキスがいた魚などを摂取しただけでも、反応してしまう劇症型の場合、肉芽腫を取り除いてもアレルギー反応はすぐには消えない等、治療が長引く理由がわかりますね。
数日後に起こりがちな腸アニサキスだとアニサキス症と判断しにくいことがあります。症状が急に現れ、大人でものた打ち回るような痛みを訴えられたら、急性の胃潰瘍を疑われるのはなんとなく想像できます。
新鮮な生の魚などを食べるときは、アニサキスの存在を意識して数日から一週間は覚えておくといいかもしれませんね。
